酸化鉄(II)(さんかてつ に、Iron(II) oxide)は酸化鉄の一種である。酸化第一鉄(さんかだいいちてつ、ferrous oxide、ferrous iron)とも呼ばれるが推奨されない。組成式FeOで表される。

常温常圧で黒色の粉末。発火性がある。不定比化合物の代表例であり、鉄原子の欠損により元素の鉄と酸素との比は試料によりFe0.84OからFe0.95Oの幅を持つ。鉱石としてはウスタイトが知られている。

製法

FeOはシュウ酸鉄(II)を真空中で加熱すると得られる

FeC 2 O 4   FeO   CO   CO 2 {\displaystyle {\ce {FeC2O4\ -> FeO\ CO\ CO2}}}

この黒色粉末は加熱により幾分反応するので、加熱した試料は急冷することで不均化を防ぐことができる。

化学量論的に均一な酸化鉄(II)は金属鉄を36kbarの条件下で加熱すると作成でき、組成式はFe0.95Oである。

反応

酸化鉄(II)は575℃以下では熱力学的に不安定で、高温の酸化鉄(II)をゆっくりと冷却すると不均化により金属鉄と酸化鉄(II,III)とに変化する

4 FeO Fe   Fe 3 O 4 {\displaystyle {\ce {4FeO -> Fe\ Fe3O4}}}

構造

酸化鉄(II)は、岩塩と同じく立方晶を形成し、鉄は酸素を中心とする8面体の頂点に配置し、酸素は鉄中心とする8面体の頂点に配置している。Fe( 2)はFe( 3)になる為、酸化鉄(II)は不定比化合物に成り易い。一部のFe( 2)が3対2の比でFe( 3)に置き換わり、そこの酸素の結晶格子は四面体構造をとる。

200K以下では結晶構造は部分的に菱面体晶に変化し、試料によっては反強磁性を示す。

用途

酸化鉄(II)は色素として使用される。FDAによると、酸化鉄(II)は化粧品や刺青のインクとしても使用される。

註・出典

  • https://webmineral.com/data/Wustite.shtml

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