グリーン水素(グリーンすいそ、英語: green hydrogen)とは、水の電気分解によって生産される、生成過程で二酸化炭素(CO2)を排出せずに製造された水素である。
他の水素の分類として、化石燃料から抽出されるグレー水素(英語: grey hydrogen)や、化石燃料から抽出する際にCO2を分離回収し地中貯留などを行いCO2の大気中への放出を防いだブルー水素(英語: blue hydrogen)などがある。
製造方法
製造方法は主に、アルカリ水電解、PEM(高分子電解質膜)、AEM水電解、高温水蒸気電解の4方式がある。
アルカリ水電解
水酸化カリウム溶液の電気分解により酸素と水素を製造する。
電解効率は70~80%であり、反応式は次の通り。
陽極 2H2O 2e- → 2OH H2
陰極 2OH- →1/2 O2 H2O 2e- NEDO実証では設備コスト5.2万円/kWを目指している。
PEM(固体高分子膜)
純水の電気分解によって酸素と水素を製造する。
反応式は次の通り。
陽極 2H2O →4H 4e- O2
陰極 4H 4e = 2H2
NEDO実証では設備コスト6.5万円/kWを目指している。
AEM(アニオン交換膜)
アルカリ水電解型とPEM型を組み合わせ、触媒などに貴金属を使用しないのが、AEM型である。製造コストはPEM型に比べて約二割下がる。
陽極 H2O+4e- →2H2 OH
陰極 4OH- →O2+2H2O
高温水蒸気電解
900℃近い高温の水蒸気を電気分解することで、酸素と水素を製造する。
電気分解に必要なエネルギーの一部を熱で補うため、効率が高い。
高温の水蒸気での水素精製技術としては、電気分解を用いず、ヨウ素(I)と硫黄(S)を用いて水を分解するISプロセスも研究されている。集光型太陽熱などで実現可能な温度である650℃での反応の成功事例がある。
脚注
外部リンク
- 『グリーン水素』 - コトバンク




