「天使のハンマー」(てんしのハンマー、原題: If I Had a Hammer (The Hammer Song))は、ピート・シーガーとリー・ヘイズによって書かれたフォークソング。アメリカの公民権運動において代表的な「フリーダム・ソング」のひとつとして多くの市民やアーティストの間で歌い継がれた。
原題は「もし私がハンマーをもっていたら(実際にはもっていないが)」といった意味である。また、日本語題では「天使」という言葉が入っているが、歌詞にはそうした意味の言葉はない。このため、「ハンマーを持ったら」と題されることもある。
オリジナル・バージョン
1949年6月3日、ニューヨークの聖ニコラス・アリーナでアメリカ共産党の主導者たちを集めた謝恩会が開かれた。その会で本作品はピート・シーガーとリー・ヘイズによって初めて演奏された。政府の転覆を謀ったとして訴えられた主導者たちは、当時連邦裁判所で戦っていた。
同年8月27日、ニューヨーク州ピークスキル郊外でポール・ロブスンが企画したコンサートが予定されていた。しかしコンサート当日、反共主義者がコンサートに向かう人々を襲撃し、警察が向かうまでに13名が重傷を負う。このピークスキル暴動により9月4日に延期されたコンサートにおいて、ピート・シーガーは再び本作品を歌った。
1950年、シーガー、ヘイズらが結成した4人組みのフォーク・グループ、ザ・ウィーヴァーズ(The Weavers)がシングルとして発表した。シングルのタイトルは「The Hammer Song」であった。
ピーター・ポール&マリーのバージョン
1962年7月、ピーター・ポール&マリーは「レモン・トゥリー」に続くセカンド・シングルとして本作品を発表した。B面は「虹と共に消えた恋(Gone the Rainbow)」。同年10月13日付のビルボード・Hot 100で10位を記録した。スタジオ・バージョンは全米アルバム・チャート1位を記録したデビュー・アルバム『Peter, Paul and Mary』に収録された。
ライブ・バージョンは『イン・コンサート』(1964年)や日本で独自に発売された『イン・ジャパン』(1967年の公演)などで聴くことができる。
1963年8月28日に行われたワシントン大行進で演奏した時の映像が、2004年に発売されたボックス・セット『Carry It On』のボーナスDVDに収録されている。また、ニューポート・フォーク・フェスティヴァルで演奏した時の映像も残されている。
トリニ・ロペスのバージョン
1963年、トリニ・ロペスのデビュー・アルバム『Trini Lopez at PJ's』に収録された。ウェスト・ハリウッドのPJ'sでライブ・レコーディングされた同アルバムは大ヒットしゴールドディスクに認定された。ここから同年7月にシングルカットされた「天使のハンマー」も同年9月7日から9月21日にかけてビルボード・Hot 100で3週連続3位を記録した。
その他のバージョン
脚注




